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  小売店や飲食店が、来店客に対して発行するポイントは、顧客がマネタイズ(貨幣化)して二次的に使えるため人気がある。顧客が貯めるポイントは電子的に管理されることで、電子マネーと同じ価値を持つようになってきた。そこで考えられる、消費者の変化と新サービスの動向について解説。
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消費者が求めるサービスのマネタイズ化と
電子マネー社会
written in 2010/4/28

 ネットでは便利なサービスが各種無料で提供されているが、それを単にユーザーとして利用するのではなく、小遣い稼ぎや副業のツールとして活用することにより、収益化を目指すことは「マネタイズ」と呼ばれている。その具体的なものとしては、自分のブログに広告バナーを貼り付けたり、ショッピングサイトのアフィリエイト会員になることで報酬を得ることがある。

しかし、本来のマネタイズにはもっと深い意味があり、「Monetization(貨幣化)」という経済用語が語源になっている。我々は経済的に価値があるモノを色々と保有しているが、それ自体に“お金”としての流通機能はないため、最終的に「通貨」に換金してからでないと使えない。その貨幣化の段階をマネタイズと呼ぶのだ。

これまで唯一、マネタイズができたのは各国の政府であった。たとえば今期の福祉予算が1兆円足りないのであれば、1兆円分の紙幣を新たに刷ることで、“お金”を生み出すことができる。1万円札の製造コストは1枚あたり約16円と言われており、額面の 0.16%に過ぎない。

しかし、政府が闇雲に紙幣を発行すると、世の中へ大量に出回ったお金が投機へ回り、バルブが起こって国民の生活は余計に厳しくなるため、紙幣の大量発行は禁じ手の政策になっている。いまの通貨は、一度出回ってしまえば、どんな使われ方をするのか想定できないため、福祉サービスに限定して、新たな1兆円を循環させることは不可能である。

そこで、新たなマネタイズの方法として「電子マネー」を使うのはどうか、という案もある。子ども手当てにしても、支給された資金が、親の遊興費に使われてしまったのでは意味が無いが、子育てや教育分野だけに使える電子マネーとして支給すれば、本来の目的だけで消費されることになる。それに似た仕組みとしては、既に「エコポイント」が実施されているが、その評判は意外と悪くない。

経済産業省の報告によると、省エネ家電エコポイントの発行対象となるテレビ、エアコン、冷蔵庫の売上状況は、ポイント発行前よりも3割伸びているとのこと。環境分野だけに絞り込んで、消費を促進させる手法としては成果を上げている。現状では、ポイントの申請方法がローテクでかなり面倒だが、それが電子化されると他の社会事業にも応用できそうだ。

《省エネ家電エコポイントの利用状況(平成21年7月〜22年3月分》

  省エネ家電エコポイントの利用状況

現金支給の代わりとしてポイントを発行することの利点は、ポイントの用途(交換商品)を意図した分野に絞り込めることや、ポイントによる買い物の状況を把握、管理することが容易になることである。この仕組みであれば、ポイント発行額の大半が、生活やレジャーの目的で消費されることになり、投機市場へと流れることはない。こうしてみると、電子マネー(ポイントを含む)によるマネタイズは、現金(通貨)よりも優れているという見方もできる。

しかし、国が電子マネー発行に本腰を入れると、従来の通貨による金融システムが機能しなくなってしまうため、政府公認の電子マネーが多分野に導入される可能性は低いとみられている。その一方で、民間ベースでの電子マネタイズは広く普及していくことになるだろう。

今のところ、電子マネーは「企業通貨(民間通貨)」という位置付けであり、一定のルールさえ守れば、どんな企業や団体でも発行することが可能である。これまでの“お金”は各国の政府しか発行することができなかったのが、今後は企業やNPO、個人商店でも独自のマネタイズができるようになる。それがどういうことなのか、具体例をみていくことにしよう。
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この記事の核となる項目
 ●顧客サービスがマネタイズされる潮流
 ●飲食店サービスのマネタイズモデル
 ●クレジットカード会社のマネタイズモデル
 ●家電エコポイントがマネタイズされている状況
 ●消費者への報酬として与えられる電子マネーの新たな価値
 ●販促ポイントと電子マネーとの融合路線
 ●ソーシャルゲームの広告マネーとゲーム通貨
 ●ソーシャルゲーム市場のマネタイズ・プラットフォーム
 ●バーチャル通貨を“浄化”するソーシャルマネーの動き
 ●営利のソーシャルゲームを健全化する収益モデル
 ●広告費を寄付するフリードネーションの仕組み
 ●電子社会のマネタイズによる新ライフスタイルとは
 ●クレジットカードのポイント特典は誰が払っているのか?


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JNEWS LETTER 2010.4.28
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