NHKスペシャル「行方不明者1万人〜知られざる徘徊の実態」(11日放送)をきっかけに、7年ぶりに夫との再会を果たした認知症の女性が、元ニッポン放送の女性アナウンサーだったことが分かった。58歳ごろからもの忘れが目立ち始め、若年性アルツハイマー型の認知症と診断され、2007年10月から行方不明になっていたという。
12日に群馬県館林市の施設で夫が面会し、身元が確認されたのは東京・浅草の女性(67)。放送直後からNHKに情報が相次いで寄せられ、劇的な再会につながった。このニュースは13日朝のニッポン放送「高嶋ひでたけのあさラジ!」でも伝えられた。
NHKなどによると、女性は07年10月29日夕、浅草の自宅近くの親族を訪ねた後に行方不明となった。翌30日未明、浅草から約75キロ離れた東武鉄道館林駅の近くの路上で警察に保護されたが、名前や住所が言えなかったため、館林市内の介護施設で保護されていた。4年ほど前から寝たきりになっているという。
長期間、身元が分からなかった背景として、保護した館林警察署と、群馬県警本部が異なる名前で把握していたことが指摘されている。家族は警察に届け出たうえ、ポスターを作って情報提供を呼びかけていたが、手掛かりはつかめなかった。
女性は大学卒業後、ニッポン放送でアナウンサーなどとして勤め、1973年3月に退職したという。
警察庁は今年4月、認知症が原因で行方不明になったとの届け出が2012年に9607人分あったと明らかにした。同年中に所在が確認できた人は、それより前に行方不明になっていた人も含めると9478人。231人は12年中に発見できず、13年に入ってから53人見つかったとしている。死亡者は359人だった。
徘徊者対策を見直す必要がありそうだ。