2007年に東京Vを昇格させ、今年再びJ2で指揮を執ることになった岐阜のラモス瑠偉監督が、昔と今の違いを言っていました。「昔に比べたらみんなうまくなっているし、特にサイドにいい選手が揃ってきている。どのチームもね」。

そのためでしょうか。岐阜はサイドの守りを徹底しました。横浜FCは盛んに三都主のサイドを攻めようとしましたが、カバーまで含めてしっかり蓋が閉まっており、FWとの距離も開いてしまっていたためリズムを作れません。逆に岐阜が去年とは見違えるようなパス交換を見せ攻め込みます。すると15分、横浜FCのペナルティエリアの中でプッシングの反則があり、ナザリトが決めて岐阜が先制しました。

後半、横浜FCは黒津を投入し変化をつけます。次第に横浜FCが盛り返してきたとき、ターニングポイントが訪れました。岐阜の阿部が厳しくチェイスしたということで警告を受けます。ところがこれがこの日2枚目のカードで退場となりました。前線のナザリトはフラフラしており、試合後にラモス監督が明らかにしたところによれば「前半からめまいがするということだった」ということで、ほとんどボールも終えません。一気に9人になってしまったかのような岐阜を横浜FCが攻め立てました。

本当ならラモス監督は美尾を投入し、ボールキープで変化をつけたかったということでした。ですが高さを考えるとナザリトを引っ込めるわけにもいかず、圧倒的な数的不利は変わりません。途中投入された遠藤もきっと一杯一杯だったのでしょう。闇雲に前に進みボールを奪われてピンチを作ります。

その危機を選手たちは乗り切りました。岐阜が1-0で勝利。まるで決勝戦のような戦いぶりでした。


ところで試合後、岐阜の関係者に聞いたところ、扇谷主審の最近のジャッジから、もしかしたら退場者が出るかもしれないと思い、いろいろ考えていたとのことでした。だからうまく対応できたということです。そうか、プロというのはそこまで考えておかなければいけないのか——。そこにも感心させられた試合でした。