袴田さん再審、静岡地検が即時抗告
1966年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した元プロボクサー袴田巌さん(78)の第2次再審請求審で、静岡地検は31日、再審開始を認めた静岡地裁(村山浩昭裁判長)の決定を不服として東京高裁に即時抗告した。
袴田さんの再審請求をめぐる審理は東京高裁に移る。検察側は、地裁決定の根拠となった、犯人のものとされた「5点の衣類」に付いた血液を再びDNA鑑定するよう主張するとみられる。やり直しの裁判(再審)が開かれるかどうか結論が出るまでに時間がかかりそうだ。
弁護団は袴田さんの年齢や健康状態などから、検察側に即時抗告しないよう求めていた。また、東京高裁には即時抗告があった場合は棄却するよう要請している。
地裁は3月27日の開始決定で「5点の衣類に関しては、捜査機関が証拠を捏造した疑いがある」「国家機関が無実の個人を陥れ、45年以上身柄拘束を続けた」と踏み込んだ判断を示しており、即時抗告審で検察側が反論するのは必至。高裁の判断も注目される。
地裁の死刑執行と拘置の停止決定を受け、袴田さんは3月27日夕に釈放されたが、48年近く身柄拘束されたことによる心身への影響を考慮され、翌28日から都内の病院に入院している。[共同]