<オープン戦:中日4-2阪神>◇23日◇北谷

 阪神榎田大樹投手(27)が開幕ローテーション入りへ、1歩前進した。中日戦に先発。強い直球をテーマにこん身の力を振り絞った。打者2巡目の3回。1死後、ルナへの2球目は内角への137キロ。思わず腰を引かせ、次の直球で二飛に抑えた。

 新外国人ゴメスにも厳しい内角攻めを見せる。外角も用いて左飛に片づけた。「ダブル助っ人退治」を果たしても「結果がゼロなのは良かったけど真っすぐをしっかり投げきりたい。打たれたのは真っすぐが高めに行ったもの。コースに行っても球のスピード、キレは全然…」と表情は浮かない。

 4回無失点だが、6安打を許し、自己評価は厳しい。それでも、中西投手コーチは「ちょっと(状態が上がって)きたかな。コンビネーション良く投げていたよ」と及第点を与えた。シュート、スライダーやカットボールなど変化球を駆使して中日打線の打ち気をそらした。前回登板の15日紅白戦は3回で7安打4失点。2度続けて失敗は許されず、先発陣入りへアピール成功だ。

 前日22日には同じくローテーション候補の秋山が4回1安打無失点と好投。先発争いは激化するが、榎田は冷静だ。「周りにどうこう言われても、自分のやるべきことは分かっている。秋山とは全然、タイプが違う。1歩、前進したかな。開幕ローテに入ることもそうだけど、1年間、ローテでやるためにどうするかです」。直球の球威があってこそ、多彩な変化球も生きる。先発挑戦も2年目。試行錯誤し、最高のスタイルを模索する。【酒井俊作】