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Vol.192 『終戦のエンペラー』

新宿ピカデリーにて『終戦のエンペラー』観賞。8月1日に観たのですが、時間が取れず、ここに掲載できていませんでした。
作品としては、これまでほとんど映像化されることのなかった、第二次世界大戦終戦直後の日本の姿。カテゴリとして戦争映画に分類しましたが、戦争自体を描いた作品ではなく、マッカーサーが占領政策、大きくいうと、戦後の日本をどのように導いていくかについてを策定するにあたり、その責任の所在をどのように判断したかが描かれています。

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戦後、70年近くになってもあまり知られていない終戦直後の歴史。戦争を始めたのは誰か? 終わらせたのは誰か? 玉音放送前夜のクーデター、そして、教科書などに掲載されている有名なマッカーサーと天皇が並んだ写真。これらについて、部下のフェラーズの視点で一つ一つひもとかれていきます。
このときの舵取りが変わっていたら、今の日本はまったく別な社会になっていたかも知れません。そのくらい重要な歴史の転換点であるにも関わらず、ほとんど知られていないというのはいいことではありませんね。こうした映画こそ、多くの人に観てもらいたいですし、国や自治体なども広める部分に強力してもいいんじゃないですかね。

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もちろん話としてはフィクションも含まれますが、史実に基づく部分も多いわけですし、日本人として知っておくべきことであればどんどん推奨すべきだと思います。
映画としては、サスペンス的な部分もなく、どちらかというと淡々と進んでいく感じでしょうか。まあ、この話があまりにもドラマティックでは困りますが、抑揚がない分をカバーしようという意図でしょうか。フェラーズの恋愛の話。必要かどうか微妙な感じもありました。
それよりは小泉八雲の研究の話とか、フェラーズ自身を掘り下げたほうが、親日家としての姿が描けたような気もします。マッカーサーにしても、フェラーズにしても、日本という国を新しい姿に生まれ変わらせてくれた、いわば日本にとっての恩人とも言える人々なわけで、日本に対する思いといったものがわかりやすく出てたらなおよかったですね。
あと、個人的に気になったのは、終戦直後、1ヵ月とか2ヵ月という時期の東京が舞台なのにきれいすぎると感じたことでしょうか。焼け野原になった東京を再現しているのですが、そのがれきの山とかが、どうも、いま作りましたという感じに見えました。
東京の焼け野原は知りませんが、東日本大震災の被災地の映像をみている人にとっては、まったくの作り物という感じに見えると思います。全然混乱していないというか、壊れた街ではなく、がれきで作った街に見えるというか。そこだけ気になりました。

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映画自体はとてもよくできていましたし、日米の役者の演技もすばらしかったと思います。機会があれば、ぜひ観てほしい作品です。
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『終戦のエンペラー』公式サイト
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