浦和が10日、フォルカー・フィンケ監督(62)の「年内続投」を決めた。さいたま市内のクラブハウスで柱谷GMが同監督、選手代表者と直接会談。フィンケ監督との今季終了までの契約期間内は原則、現体制を継続する方針を確認した。浦和はリーグ中断明け後の5試合で1勝4敗と低迷。シーズン前半戦を10位で折り返したが、クラブ側はパスサッカーの継続強化によるチーム再建を優先した。

 フロントと現場の信頼関係を強めることが、低迷脱出への第1歩だった。柱谷GMはこの日の練習後にフィンケ監督と選手代表の鈴木、山岸、阿部、細貝、山田直の総勢7人で約1時間半、直接会談した。戦術や練習内容を含めた、チーム再建策について意見を交換。今後もフィンケ監督のもとでパスサッカーの熟成を図り、今季目標のタイトル奪取と来季アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場圏のリーグ3位を目指す方針を確認し合った。

 柱谷GMは「お互いに建設的な意見を出し合えた。監督とは今季いっぱいまで契約があるわけだし、基本的に最後までやることに変わりはない。責任を持って立て直してもらえると判断した。こういうときだからこそ、お互い信頼し合うことが大事」と説明した。

 シーズン半ばに、選手を交えて監督の去就についてまで言及した話し合いを行うのは極めて異例。同GMは「一部の報道では解任とか、(後任に)オレの名前が出ていたけれど、そんな話は一切ない」と選手サイドにも伝え、今まで以上に直接対話で相互理解を深めることも確認した。

 ただ、チームを取り巻く現状は厳しい。序盤戦は5勝1分け1敗と好調ながら、4月24日の磐田戦以降は2勝1分け7敗。前々節の大宮戦、前節神戸戦では、退場者を出して10人の相手に2試合連続で完封負けを喫し、05年の1シーズン制移行後、クラブ史上ワースト順位でシーズンを折り返した。3者会談では決定力向上を最重要課題とした練習メニューの導入も話し合った。連敗の不安を取り除き、チームが一丸となって戦うには、勝利を挙げるしかない。【山下健二郎】