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『はじまりのみち』あの「二十四の瞳」児童役がふたたび集合!!

盟友・黒澤明監督共に、国民の人気と評価を二分した映画監督・木下惠介。木下惠介の若き日々を描いた『はじまりのみち』がいよいよ6月1日に公開となります。本作には、木下作品の名場面の数々が収録されていることもあり、その収録された作品の中でも代表作『二十四の瞳』をとりあげ、出演していた児童たちを招いた試写会を行いました。
日本映画史に残る不朽の名作『二十四の瞳』(1954年)は、瀬戸内海に浮かぶ小豆島を舞台に、女性教師と12人の児童たちの交流を抒情的に綴った国民的映画。児童役を演じたあの子供たちが、約14年ぶり?!に集まり、登壇致しました。映画上映後には、『二十四の瞳』出演時のエピソードや木下惠介監督との思い出などもお話しいただきました。

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実施日:5月27日(月)14:45~
場所:スペースFS汐留
登壇者:『二十四の瞳』の「瞳の会」メンバー、原恵一監督
「瞳の会」メンバー(9名)
岡田磯吉(分教場)役:郷古秀樹
香川マスノ(分教場)役:斎藤裕子
香川マスノ(本校)役:柏谷シサ子
川本松江(本校)役:和田貞子
木下富士子(分教場)役:成瀬いく子
竹下竹一(分教場)役:渡辺五雄
竹下竹一(本校)役:渡辺四朗
西口ミサ子(分教場)役:保坂泰代
森岡正(本校)役:寺下隆章
MC:八雲ふみね
MC:それでは、たった今映画をご覧頂きましたお客様に、原監督からご挨拶をお願いいたします。
原監督:袖にいたのですが、上映終了後に拍手が起きていて感動しました。
やはり、皆さんの気持ちが出る所なので、ホッとしました。
MC:ありがとうございました。それではいくつか質問をさせて頂きましょう。本作を監督することになった経緯と、今回が初の実写映画ということですが、手掛けられた感想をお聞かせいただけますか?
原監督:元々は、木下惠介監督生誕100年記念イベントへの協力を頼まれたのが最初でした。その次の年に作品を作るから脚本を書いてくれと依頼されて、監督をやりたい、と言ったのは自分からでした。
MC:原監督は木下監督のファンだと聞いていますが?
原監督:ファンだという事があまり浸透していない事に、少しイラ立っていたんですよね(笑) でもこの役目は、ものすごく責任重大だなと思っていました、言葉は重ねられるけど映像は選択肢が1つしかなくなるので。僕の作品を見て、木下監督の映画の作品の凄さを感じてもらわないといけないと思っていました。追い込まれていて楽しむ余裕がありませんでした(笑)
出来上がりが近付いてきたときに、編集、音楽、ダビングの作業はアニメとあまり変わらないので、完成が近づくにつれて、良い作品になってきたなと個人的には実感していました。作品を見て頂いたまわりの方にも、良かったよ、と言っていただけて、自分だけの妄想じゃなかったのだなと、日々手ごたえを感じています。
MC:木下惠介監督といえば数々のヒット作を生み出した事で知られていますが、1954年公開の代表作『二十四の瞳』を知らない人は恐らくいないのではないでしょうか。そして、『はじまりのみち』の本編内でもその映像は印象的に使われていましたね。宮崎あおいさんが登場する『二十四の瞳』を思わせるシーンがとても印象的でしたが、このシーンに対する思いや撮影エピソードなどをお聞かせいただけますか?
原監督:このシーンは素敵なシーンになりました。宮崎あおいさんが望遠レンズでしか撮られていないという、他の映画ではありえないと思うんですよね(笑) 土手の下から見てたり、モニターから見てみたり、このシーンは大分走り回ったシーンでした。

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~『二十四の瞳』の児童役のみなさま登壇~
MC:それでは早速ですが、皆さまに、映画『はじまりのみち』をご覧になっての感想をお聞きしたいと思います。岡田磯吉役を演じられました郷古秀樹さん、お願い致します。
※背景のスクリーンに『二十四の瞳』出演時のそれぞれのお写真を投影。
郷古秀樹さん:原監督が木下惠介監督を本当に好きなんだという事が改めて感じられました。『二十四の瞳』がオーバーラップされるシーンもたくさんありました。
MC:続いて分教場時代の香川マスノ役を演じられた斎藤裕子さん、お願い致します。
斎藤裕子さん:見させていただいて、木下監督を好きなんだなという描写が随所に見られまして、木下監督の事が思い出されて、少し涙ぐんでしまいました。
MC:続いて、本校時代の香川マスノ役を演じられました柏谷シサ子さん、お願い致します。
柏谷さん:試写会を見て、先生の原点はこういう所なんだなと思いました。監督もいらっしゃる「瞳の会」をやっている時に、母と一緒に出席して、監督が私の母に“元気そうだね”と声をかけて下さって、いつも厳しくて恐いイメージだったが、その時に優しい方なんだなと感じました。映画を見てそういった監督の優しい原点を見たような気がしました。また、自分の母のことも同時に思い出されました。とっても優しい監督だったんだなと映画を見て感じました。

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MC:続いて、本校時代の川本松江役を演じられました和田貞子さん、お願い致します。
和田貞子さん:今日の映画の感想は、親と子の愛情っていうものがものすごく心に響きました。素晴らしかったです。
MC:続いて、分教場時代の木下富士子役を演じられました成瀬いく子さん、お願い致します。
成瀬いく子さん:やはり、数々の映画を撮られた木下先生の原点がわかったような気がして感動しました。時間が出来たら、木下先生の作品を再度見直したいなと思いました。また母の言葉の影響力というものが印象的で、私も孫の面倒を見ているので気を引き締めなければいけないなと感じました。
MC:続いて、分教場時代の竹下竹一役を演じられました渡辺五雄さん、お願い致します。
渡辺五雄さん:映画の中、リヤカーを運んでいた時代は、僕の生まれた頃。あの頃に木下先生はご家族のこういう苦労をされていたのだなと、そういった経験、思いから映画を作られていたのだなと感じました。
MC:続いて、本校時代の竹下竹一役を演じられました渡辺四朗さん、お願い致します。
渡辺四朗様:『はじまりのみち』が、どんな映画になっているか非常に興味があったのですが、随所に木下監督の素晴らしさが出ていて、改めて偉大さを感じました。あのようなまとめ方をされた原監督も素晴らしいなと思いました。ひょっとしたら何十年後に「原恵一物語」というのが出来るのではないか(笑)と思うくらい、本当に素晴らしいまとめ方でした。
MC:続いて、分教場時代の西口ミサ子役を演じられました保坂泰代さん、お願い致します。
保坂泰代様:撮影中はとても厳しい方でした。“なんで知らないおじちゃんから怒られなきゃいけないの? 冷たい人なんだな”と当時は思っていたのですが、木下先生は弱い人の目線からの作品作りをされている方で、それは先生自身が非常に優しい方だったからできた事だったのだなと映画を見て思いました。
MC:ありがとうございます。続いて、本校時代の森岡正役を演じられました寺下隆章さん、お願い致します。
寺下隆章様:今日観せて頂いた映画は、我々が(『二十四の瞳』を)撮った7~8年前の話なので、当時の木下監督の顔とだぶらせて見ていました。撮影中は厳しい方でしたね。撮影が終わってからも何度かお会いする機会もあったのですが、その時は非常に優しい顔をされていました。映画を観てなるほどなと思いました。

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MC:ありがとうございました。原監督、皆様の感想をお聞きになっていかがでしょうか?
原監督:僕自身は、みなさんをスクリーンで何度も見ているので、同じ檀上に並んでいるのは非常に不思議な感じがしています。僕は非常にバカな事に、兄弟で出られているという事を知らなくて、撮影のために子供が成長するのを5年間待っていたのか! とんでもない作り方をしたのだなと勘違いしていました(笑)
演技経験が無い子供たちを出演させているのも木下監督の挑戦だったのだなと思います。『はじまりのみち』に宮崎さんと一緒に子供達が歩くシーンでも、子供たちが中々言う事を聞かなくて大変でしたからね。
MC:ありがとうございました。それでは引き続きいくつか質問をさせて頂ければと思います。『はじまりのみち』をご覧頂いても分かるように、木下惠介監督は母親への愛情、弱き者への愛情、そして映画への愛情に満ちた人でした。木下惠介監督との思い出などありましたら教えて頂きたいのですが、渡辺さん、お願いできますでしょうか?
渡辺五雄さん:(撮影時は)6~7歳の頃でしたが、しかるべきタイミングでお菓子の差し入れを入れられていたりとか、我々12人の子供たちにも優しい気配り、配慮をして下さる方でした。もちろん本番時は真剣な表情をされていましたけれど。でもお兄さんお姉さん達には、もう少し厳しかったかもしれませんね(笑)
MC:本校時代のみなさんはいかがでしたか?
和田貞子さん:何回も繰り返し撮影を回されたという思い出はありましたね。私が下手過ぎたというのもありますが(笑)
MC:『二十四の瞳』では高峰秀子さん演じる大石先生の優しく子供達を見守る姿が本当に印象的でした。高峰秀子さんはどのような方だったのでしょうか。当時の高峰秀子さんとの思い出などありましたら教えて頂きたいのですが、和田さん、お願いできますでしょうか?
和田貞子様:とてもお優しい方だったように思います、撮影でご一緒して緊張して汗を掻いたのを覚えています。
MC:ありがとうございました。では、最後に原監督から代表してこれからご来場のお客様に一言メッセージをお願いします。
原監督:本日はありがとうございました。気に入ってくださった方は、“正直に”どなたかにお勧め頂ければと思います。僕は、今回取材やキャンペーンの際に『二十四の瞳』の木下惠介だけではない、もっと他にも木下惠介監督は良い作品を撮っているという事を割と言っているのですが、『二十四の瞳』ももちろん素晴らしいです。
木下監督という人は、僕らが到底たどり着けないような色々な高みを見せてくれる監督、それぐらい見上げるような素晴らしい作品を作っている監督です。
僕らは一歩一歩そこに向かっていくしかないなと思って、今回の『はじまりのみち』も撮らせて頂きました。この作品が皆さんの心にも残れば嬉しいです。今日はありがとうございました。

©2013「はじまりのみち」製作委員会
『はじまりのみち』
6月1日(土)全国ロードショー
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