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週刊誌における癌報道、その影響と課題
永田政義(東京大学附属病院泌尿器科助教)

2013/02/21

ながた まさよし氏○2000年東大医学部卒。東大附属病院泌尿器科、埼玉社会保険病院泌尿器科、都立荏原病院(現 財団法人東京都保健医療公社 荏原病院)泌尿器科、東京共済病院泌尿器科などを経て、10年4月より現職。

 私は普段地下鉄で通勤するが、満員の車内で毎日必ず目にするのは、週刊誌の中吊り広告である。各種週刊誌が、大小カラフルな文字が入り乱れた派手な広告を展開する。定期購読はしていないものの、実際、私もたまに週刊誌を読むことがある。

 週刊誌は、政治・経済から芸能・ゴシップまで幅広い情報を大衆に伝える日本の主要なメディアである。度々、十数ページにもわたるがん特集が組まれているのを目にすることもある。この週刊誌というメディアは、大衆に癌に関する情報を提供するのにどれほどの影響力を持っているのだろうかと、私は一人の癌専門医としてふと考えた。

 我が国が世界でも類を見ない超高齢化社会となり、国民の癌に対する関心が高まってきている中、週刊誌は、癌に関する情報をどこまで正確に表現し、どのように伝えているのであろうか。私もこういった調査結果は今まで聞いたことがなかったため、実際にインターネットやPubmedで調べてみたが、ほとんど系統的な調査はなされていなかった。

 私のおぼろげなイメージとしては、新聞に比べるとやや素人目線である印象があり、癌情報の医学的な正確性にやや欠けるところがあるのではないかとは感じていた。おそらく一つ一つの記事の内容は、専門医の意見を引用しているので、医学的に間違ってはいないであろう。しかし、これらの記事が集まって週刊誌全体となったとき、情報が患者たちを偏った方向へ導いていないかどうかという疑問があった。そこで今回、日本で出版されている週刊誌のがん情報の実態を系統的に調査することにした。

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