【2月20日 AFP】人々が死の直前に残した言葉が語り継がれていく――そんな「死に際の名言」が今、「死に際のツイート」に取って代わられつつあるようだ。

 前週立ち上げられたブログ「The Tweet Hereafter(死後の世界のツイート)」は、追悼の意を表する一風変わった形式として、最近亡くなった人たちが米マイクロブログ「ツイッター(Twitter)」上に最後に投稿した「ツイート(つぶやき)」を集めている。

 たとえば、南アフリカの両脚義足の五輪ランナー、オスカー・ピストリウス(Oscar Pistorius)被告が恋人を射殺したとして起訴された事件。バレンタインデーに殺害されたモデルのリーバ・スティンカンプ(Reeva Steenkamp)さん(当時29)の最後のツイートは、「あなたが恋人のために用意したとっておきのプレゼントは何?#getexcited #ValentinesDay」だった。

 また、米コロラド(Colorado)州アスペン(Aspen)で開催された「ウィンターXゲーム(Winter X Games)」でスノーモービルの競技中に事故で負傷し、1月31日に亡くなったケイレブ・ムーア(Caleb Moore)選手の場合は、「僕のファンページを見てね!」という普段通りのツイートが最後になった。

 インターネットの自由を訴える政治活動で知られ、刑事訴訟中に自殺した米国のアーロン・シュワルツ(Aaron Swartz)被告が最後に残したツイートも、素気なかった。それは、米財政危機を回避する奇策として話題になっている「1兆ドル硬貨」に関するやりとりで、「あなたが優秀と考える米史上トップ5の造幣局局長は?」との質問に答えた「ディール、リッテンハウス、パターソン、ロス、シムズ」の5人の名前だ。

 一方、自動車との接触事故で死亡したマウンテンバイクのイニャーキ・レハレッタ(Inaki Lejarreta)選手(スペイン)の「最後のツイート」は、少々不吉な予感を漂わせるものだった。「強風の朝。外でトレーニングするのは危なそう。まずジムから始めて、後は様子を見よう」

「The Tweet Hereafter」に掲載されているツイートは、IT専門家のマイケル・マックウォーターズ(Michael McWatters)氏とジェイミー・フォレスト(Jamie Forrest)氏が集めたものだ。最初は公開するかどうか決めていなかったが、南アでの「恐ろしい悲劇」(ピストリウス被告の事件)を知って、ブログ公開に踏み切ったという。

「ツイートの多くは、読んでも大して深い意味はない。けれど中には非常に魅力的だったり、刺激に満ちたもの、あるいはぎょっとするものや悲劇的な含蓄にあふれたものもある」とマックウォーターズ氏。一方のフォレスト氏は、「ツイッターや(米SNSの)フェイスブックといったソーシャルサイトを通じて、私たちの生活はどんどん透けて見えるようになり、死んでしまったら消せない足跡がインターネット上に残るようになった」と指摘する。

 2人が他界した人々のツイートを集めることを思いついたきっかけは1年前、過激な保守系言論人として知られたアンドリュー・ブライトバート(Andrew Breitbart)氏が心臓発作で亡くなる1時間弱前に発信した「謝罪ツイート」だったという。

「暗いし、時には面白いかもしれないけれど、あんまり意味はない。そんなブログだけれど、人々が何かを考える足掛かりになればと思っている」とフォレスト氏は語った。(c)AFP