安倍氏、赤字国債法案の成立容認も 解散論と分離
自民党の安倍晋三総裁は5日午前のTBS番組で、野田佳彦首相が年内の衆院解散・総選挙を確約しない場合でも、今年度予算の財源を裏付ける赤字国債発行法案の今国会での成立を容認する考えを示唆した。「赤字国債法案は早くしないと政府の支払いが滞るので、我々は(解散とは)別途ちゃんと考えている」と述べた。
安倍氏は首相が衆院解散・総選挙の環境整備の一つに掲げる赤字国債法案について、年内解散を促すために早期審議入りを容認する姿勢に転じていた。今回の発言はさらに踏み込んだ形だ。
赤字国債法案が成立しない場合、財務省は予算の執行抑制を強化するとともに、12月4日の10年債の入札から国債発行を止めるとしている。安倍氏が年内解散の確約がなくても同法案の成立に協力する姿勢を示したのは、赤字国債の発行停止に伴う市場への悪影響や世論の批判をかわす狙いもある。
安倍氏は番組で年内の解散・総選挙についても改めて要求した。衆院選の時期について「(首相が約束した)『近いうち』の解散であれば12月16日が限度だ」と強調。衆院選が年明けになる場合「自民党が与党になればもう一度予算を組み直さなければならない。(予算成立が)2013年4月を大きくまたぎ、暫定予算の期間が長くなる危険性がある。全く好ましくない」と指摘した。
自民党内や次期衆院選で選挙協力する公明党内には、首相が年内の解散確約や予算の減額修正に応じない限り赤字国債法案の成立に協力すべきではないとの意見も根強い。安倍氏の発言に反発があがる可能性もある。
自民党の石破茂幹事長は5日午前、党本部で記者団に、民主党の輿石東幹事長が年内解散を「日程的にも物理的に難しい」と発言したことについて「なぜ難しいのか証明してほしい。年内解散が難しいならこの臨時国会は一体何だったのか」と批判した。