マスターカードが、顧客の購買情報を収入源に

割引セールを狙う人、休暇中に旅行をする人、浪費癖のある人、年末以外は外食をしない人。マスターカードが顧客の購買に関するデータをセグメントに分け、広告主に販売しているという。
マスターカードが、顧客の購買情報を収入源に

MasterCard credit card” By Håkan Dahlström (CC:BY) via photopin

クレジットカード会社は通常、顧客がカードを使う度に一定の手数料をもらうことで売上をあげている。そしていま、マスターカードはこの購買データを収入源にする方法を見出した。

Financial Timesは先ごろ、マスターカードが顧客の購買データを広告主に販売していると報じた。これは潜在的な広告主向けにひそかに行われていたようだが、極秘というわけでもないようだ。そのことを示すプレゼンテーション資料が検索によって見つかったからだ。

「Leveraging MasterCard Data Insights to Reach Holiday Shoppers」と題されたこの資料のなかで、マスターカードのシニアヴァイスプレジデント、スーザン・グロスマンは、同社カードユーザーの年間340億件に達する購買データを分析し、顧客をセグメント分けするさまざまな方法 について説明している。

グロスマン氏によれば、同社のデータパッケージング部門は、顧客がクレジットカードを使ったときに受け取る日付や時間、金額、商品などのデータを集計し、同社に蓄積された購買パターンと比較することで、消費者を多様なセグメントに分けることができるという。

グロスマン氏は、広告主がビジネス旅行者をターゲットにしたがっているケースを例に挙げて次のように説明している。

「ビジネス旅行者は平日に旅行する傾向があり、土日に旅行することはあまりありません。そのため、われわれは月曜日から金曜日に旅行することが多い層なら、ビジネス旅行者の可能性が高いと判断できます」(グロスマン氏)

また、このプレゼン資料のなかでは、年末商戦における顧客のセグメント分けについても具体例が示されている。たとえば同社は、割引セールを狙う人や休暇中に旅行をする人 、感謝祭翌日の金曜日(いわゆるブラックフライデー)や翌週の月曜日(サイバーマンデー)にお金を使う人、浪費癖のある人、年末以外は外食をしない人 などを割り出すことができるという。これは広告主の関心を引きそうではある。

「MasterCard Audiences」というこのプログラムは今年2月にスタートし、現在米国のみで提供されているという。ただ、同社がオフラインでのカード利用をオンラインのターゲット広告にどのように利用しているかはわかっていない。グロスマン氏は、同社の取り組みが独自のものであるとしつつ、収集・販売される情報には名前や住所など個人を特定できる情報は含まれていない としている。

「マスターカードは個人情報保護に力を入れている。MasterCard Audiencesでは個人の身元が特定できる情報を収集・公開したり、分析などに利用することはない」(マスターカード)

TEXT BY MARCUS WOHLSEN
TRANSLATION BY 中村航

WIRED NEWS 原文(English)
※この翻訳は抄訳です