フリーダム、高齢者「見守る」マット 心拍数クラウドで管理
自動車向けソフトウエア開発などを手がけるフリーダム(愛知県刈谷市、山本孝幸社長)は、離れたところからでも介護が必要な人を見守るシステムを開発した。自動車用の制御技術を応用、心拍数や呼吸などをクラウド・コンピューティングで管理する。同社はこのシステムで介護事業に参入。自社で施設を運営するとともに、IT(情報技術)を活用した介護を全国の施設に提案する。
開発したのは、寝具の下に敷くゴム製の「センサーマット」やマットとインターネットを結ぶ「コントロールパネル」など3点がセットになった「おだやかタイム」。今月から介護施設向けに販売やリースを始めた。
マットを通して空気の振動を収集する。マットとつながったパネルには自動車向け技術を応用した専用の制御基板が組み込まれ、空気の振動から寝ている人の心拍数や呼吸を解析。数値化されたデータがクラウド上に集約される。
介護施設の職員はパソコンやタブレット(多機能携帯端末)、スマートフォン(高機能携帯電話)で情報を確認できる。画面上に「睡眠中」「離床中」といった情報が表示され、睡眠時間や起床時間など入居者の生活パターンも一目で分かる。
マットは厚さ約5ミリで布団やベッド用マットレスの下に敷いても違和感はない。体調に異変を感じた入居者が寝具をたたくと、管理画面に緊急事態が表示される機能もある。夜間などの職員の見回りの負担などを減らし、人件費の削減効果も期待できる。
フリーダムは介護事業を手がける子会社を設立し、今月1日に全49床の「恵の郷ショートステイ知立」(愛知県知立市)を開所した。同システムを利用した介護のノウハウを蓄積し、全国の施設にも広めたい考え。既に東京や岡山の施設が試験導入を始めている。
同社はトヨタ系の自動車関連企業向けにカーナビゲーションやトランスミッションなどの制御ソフトウエアを開発している。2008年のリーマン・ショックを契機に自動車向け技術を応用した新事業の検討を進めていた。11年9月期のグループ売上高は38億円。