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志茂田景樹“忘れられない恋”×ふかわりょう恋愛相談 トークショー

死を決意した天才音楽家は“叶わなかった恋”に想いを馳せる――
自伝的コミックを自ら映画化した『ペルセポリス』で、アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネート、カンヌ国際映画祭審査員賞に輝いたマルジャン・サトラピ監督の最新作、『チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~』(11月10日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次)。
死を決意した天才音楽家は人生最後の日、“叶わぬ恋”に想いを馳せる<切なくロマンティックな愛の物語>である本作は、大人の誰もが同じように持つ淡く忘れられない恋の想い出の扉をそっと開けてくれます。
この度、本作公開を前に作家の志茂田景樹さんと、芸人・DJのふかわりょうさんをお招きしたトークショーを実施。現在、22万人を超えるフォロワーを持つご自身のツイッターでお悩み相談が大変人気の志茂田先生に、“忘れられない恋”をテーマに語っていただきつつ、ふかわりょうさんの恋愛相談、さらには来場のお客様からの質問も受け付けるなど、悩める大人たちを癒すイベントとなりました。
●日時:10月16日(火) 19:00[上映前]
●場所:シネマート六本木
●登壇者:志茂田景樹、ふかわりょう


Q:本作をご覧になった感想
志茂田さん:切なく、そして笑いを誘われる部分もありました。切なく切なく、笑って笑って、また切なく笑って、そしてまた切なく…。この女流監督は演出の定型を破る面白さが何カ所もあり、それはどれもとても素晴らしい見せ場でした。類いなき名器を壊された主人公のバイオリニスト。この名器は彼が手に入れてからは彼の一部、心の一部となったんですよね。バイオリンを壊されたということは、彼にとってその音色を壊されたということ。それは作家が本気で小説を書くということは、命を削って書いている、というそれと似ていると感じました。
ふかわさん:今までの経験でフランス映画は2つに分かれます。“すごく退屈で何だか良く分からない悪性のもの”、そして“フランス映画らしいけど意外性もある心地よい良性のもの”。本作は後者の作品でした。描かれているものはドロドロしているのに描くタッチがとても軽くてポップ。フランス人の感覚はすごいと思いました。 “不満は発明の母”というように、主人公のバイオリニストも含め、アーティストは満たされていない部分を埋めようとして作品が出来るんでしょうね。
僕は若い頃ストーカーだったから主人公が持つような“忘れられない恋”や“追いかける”という心理は分かります。昔の彼女にクリスマス前に振られたのですが、「きっとまだ僕のことを思ってくれている」と信じて朝から晩まで公園のベンチでその子を待ったこともあります。もし彼女がきてくれたらサンタさんからのプレゼントだな…と思いながら…。若かったこともあって、本当の失恋を受け止めるまでには時間がかかりました。
Q:映画の主人公のように「忘れられない女性」はいますか?
志茂田さん:いますよ。本当に忘れられない人は、この映画と似てて哀しいもの。大学時代には三角関係の男女3人で海に行ったことがあります。海辺で僕ともう一人の男の子が、「どちらか好きか言ってくれ」と言うと、彼女が困っているので、「砂にどちらかの名前を書いて」と言ったのです。振り向いたら僕の名前だった。半年くらいお付き合いして別れてしまったけれど、その後、ポピュラーミュージックで「砂に書いたラプレター」という歌が世に出て、「僕の原案?」と思ったの(笑)。
ふかわさん:今まで出逢った人はずっと忘れられないです。全員引きずりながら人生を送ってますよ。ストーカー時代もあったし(笑)。今でも気持ちの中ではストーキングをやめてないと思います。忘れたくても忘れられないんです。
●会場からのお悩み相談
1.アーティスティックで、ふかわさんのような甲斐性がないダメ男が好きです。将来のことが不安なのですがどうしたら良いですか?
志茂田さん:あなた自身がダメ男を好きになるものを持っているのだから、ダメ男を引き立てる役割についてみたら彼は化けてすごい人間になるかも。間違っても調子の良いみかけの良いチャラチャラしたようなダメ男はダメよ。ふかわさんは、さっきからダメ男だと思ってたわ!どう見ても秀才に見えないし、ダメ男がにじみ出てたわよ。目や手つきや言葉使いとか、総合するとね(笑)。
2.同じ学部に通う三年ほど仲良しの友達のことを好きになってしまいました。家によんだ時にキスをしてしまったのですが、彼女は一つ上の先輩と付き合っています。どうしたら良いでしょうか?
志茂田さん:複雑だね..。今、大学生でも以外と交際範囲が狭く、友達が多いようで少ない。狭い範囲の中で恋愛が壊れたり成立したり、複雑になったりしているように感じます。色んな物をSNSで補っているのかも。視野をもう少し広げてみてはどうですか?三角関係は一人が引いて、気持ちを言えば良いのだから。彼女を失いたくないなら、引かなければ。
3.男は何歳までなら恋をしてよいと思いますか?
志茂田さん:恋に年齢制限はありません。相手があれば成立すること。賞味期限も無いんですよ。結婚もそう。恋愛は非常に自由な世界です。自分でそんな枠を作らなくて良いんです。取っ払ってください。
4.去年ずっと逢っていた人に付き合いたいと告白したのですが、彼からはデートしたくないと言われました。私はデートしていたつもりだったのに…と、それから逢わなくなりました。そして数ヶ月前に私が交通事故に合ってしまい、そのときにすごく孤独を感じて彼に連絡してしまったんです。私が動けなくて家にいるとき、彼だけが逢いに行くよと言ってくれました。彼と逢うべきでしょうか。
ふかわさん:“逢いたい”という気持ちが“情”なのか、“恋”なのか、というところが大切ですね。辛いときにそばにいてくれる人は大切にしたいけれど、人間としてではなくて彼氏としてはどうなのか、そこをちゃんと見極めないと。答えが唯一あるとしたら、やはりそれは自分で決めるしかないことなんですよね。
志茂田さん:今の若い人たちの恋愛は、長く引きずる人が多い。恋の未練なのか、情が残ってなのか、その境目が分からないことがあるようです。事故で大変な時に孤独を味わって元彼から逢おうと言われたら、逢うのは構わないけれど、その後の期待をあまり持ち過ぎない方が良いと思います。彼は“情”の部分であなたを励まそうと思っているのかもしれない。
そこであまりに期待し過ぎちゃうと、後であなたが回復したときにひっくり返されたような気持ちになると思うから、自分を押さえて、期待し過ぎない方が良いと思いますよ。 依存しすぎちゃダメ。命拾いをして、もしかしたら新しい道が待っているかもしれない。逢うことはもうあなたの中で決めているみたいだけど、その気持ちは分かる。期待し過ぎないでね。あなたが思う展開と違ったら、それで良いわけだから。
Q:映画の見所
志茂田さん:見所だらけです! 最後の最後に何が現れるか、ここに注目してください。そしてプロローグ部分に仕掛けがあるのでその仕掛けを見逃さないように。
主人公の表情がどのように変化していくのか。映画の楽しみがとても増えると思います。
ふかわさん:観終わったときに、お気に入りのカフェを見つけたな、という気分になってもらえたら良いと思いました。
志茂田さん:それいいね! すごく良い!! 一行でこの映画の神髄を上手く言ったと思います。
●ストーリー
天才音楽家ナセル・アリは、死ぬことにした。
大切なバイオリンを壊されたから──。
忘れられない恋を知る全ての大人に贈る、切なくてロマンティックな愛の物語。
最期の8日間で、人生を振り返るナセル・アリ。空っぽな音だと叱られた修業時代。
絶大な人気を得た黄金時代。
誤った結婚、怖くて愛しい母の死。大好きなソフィア・ローレンとチキンのプラム煮。そして今も胸を引き裂くのは、 叶わなかった恋。やがて明かされる、聴く者すべてが涙する奇跡の音色の秘密とは──?
監督・脚本:マルジャン・サトラピ、ヴァンサン・パロノー『ペルセポリス』
原作:マルジャン・サトラピ「鶏のプラム煮」
出演:マチュー・アマルリック『潜水服は蝶の夢を見る』、マリア・デ・メディロス『パルプ・フィクション』、イザベラ・ロッセリーニ『ブルーベルベット』、キアラ・マストロヤンニ『そして僕は恋をする』
配給:ギャガ 原題:Poulet aux prunes/2011年/フランス・ドイツ・ベルギー合作映画/92分/カラー/シネスコ/ドルビーSR、ドルビーデジタル/字幕翻訳:松岡葉子 PG12
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Arte France Cinema – ZDF/ Arte -LoretteProductions- Film(s)
『チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~』
11月10日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国順次ロードショー
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