検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

人生の最期、見知らぬ僧侶には任せられぬ

定年男子の終活見聞録

詳しくはこちら

昔は冠婚葬祭に詳しいうるさ型のおじさんが、親せきや隣近所に1人ぐらいはいた。何かあって相談に行くと、的確な答えが返ってきたものだ。今はそんな相談先も簡単には見つからない。

その代わりでもないのだろうが、高齢者が増えた近年、葬式に関するセミナーがよく開かれている。葬儀社のほか、各地の消費生活センター、生涯学習施設などで、「分かりやすいお葬式」「聞くに聞けない葬式の話」などの案内看板を目にすることがある。

3日間の本格セミナー、改めて「死に場所」考える

新横浜の葬祭会館「ラステル」を見学した際、葬式セミナーのポスターを見つけ、私も受講することにした。3日間にわたる本格セミナー。60歳代~70歳代の約20人が出席した。

講師は、葬祭コンサルタントの二村祐輔さん(59)。葬儀社に長く勤めた経験を生かし、自治体や葬儀社、民間団体などが主催する講演会を年間100回ほどこなすほか、葬祭関連の専門学校の教壇にも立っている。

以前は講演会を開いても、こそこそと隠れるようにやって来る人が多かったという。「縁起でもない」と看板の掲示を渋る施設もあった。それが今では、老人の健康、生きがい、ケア関連施設なども、堂々と葬式セミナーを開くようになった。「世の中はずいぶん変わった」「葬式への不安の表れだろう」と二村講師は言う。

僧侶、お経、戒名は… 葬式は悩みどころいっぱい

 「1976年を境に、葬式事情が大きく変わった。さて何があったのでしょう」。セミナーはこんな講師の問いかけで始まった。正解は「病院での死亡者が、初めて自宅での死亡者数を上回った年」。自宅で亡くなる人の割合はその後も減り続け、今では12~13%(人口動態統計)にすぎない。

死に場所が病院だとどうなるか。「遺体を病院に長くは置いておけない。運び出しを迫られている時に病院出入りの葬儀社が現れると、動転している遺族はついつい搬送を依頼し、葬儀社の安置所に運ばれることになる」と二村講師。そうなると、成り行き上、後の葬儀もその葬儀社が取り仕切ることになりがちだ。

葬儀内容や費用の検討などは、余裕のない中では極めて難しい。「遺族が思案する間もなく、業者主導でスケジュールがどんどん進む葬式が主流になった」というのだ。「参列者におじぎを繰り返しているうちに終わってしまった」という遺族の感想もよく聞く。だからこそ、「本人と家族が、葬儀場や内容について生前に考えをまとめておくことが大切」と忠告する。

僧侶にお経をあげてもらうか、戒名をどうするか、も悩むところだ。私もそうだが、若いころに田舎の実家を離れて都会に出てきた者にとって、僧侶のあてなどないのが普通だろう。葬儀社が紹介する僧侶に頼るしかない。ただ、人生の最期を見ず知らずの僧侶に任せるのも釈然としない。

だからといって、僧侶抜きの無宗教の葬儀にも踏み切れない。仏教とは無縁の生活をしてきたのに、いざ葬式となると、信頼できる僧侶にお経をあげてもらい、戒名も授かりたい。

都合の良すぎる勝手な話だとは思うが、葬式とはそういうものなのかもしれない。考えは堂々巡りで、結論を出すにはまだまだ時間がかかりそうだ。

終活仲間と同窓会、葬式話で盛り上がるのも一興か

「ラステル」は毎月、誰でも参加できる「お坊さんとのおしゃべり会」を開いている。そこでの僧侶との出会いが、「自分の葬式も頼みたい」という結果につながるかもしれない。葬儀社の新しい試みではある。境内を開放して「法話会」「坊さんトーク」などの催しを行う寺も、徐々に増えつつある。

二村講師は釣り好きの義父の葬儀で、「釣」の字が入った戒名を自分で考えた。僧侶に頼んで希望通りの戒名を授かり、祭壇には釣りざおを飾った。「故人にも遺族にも納得できる葬式ができた」と話す。悔いの残らない葬式のためには、送る側も送られる側も、事前の心づもりが不可欠のようだ。葬式だけはやり直しがきかないのだから。

信頼できる葬儀社の見つけ方、費用の賢いかけ方、僧侶へのお布施、さらには葬式の意味など、これまで気にもしなかった多くの難問に気付かされたセミナーだった。終了後、「そのうちに同窓会でもやりましょう」と講師が提案した。終活で集まった者たちの同窓会なんてめったにあるものではない。ワイワイと楽しみながら、自分の葬式話で盛り上がるのもいいか、と思う。

(森 均)

 森均(もり・ひとし) 1947年京都府生まれ。日本経済新聞の社会部記者、編集委員を長く務める。家庭を顧みない「仕事人間」だったが、定年退職以降は「家庭人」を目指して奮闘中。2012年4~5月には日本経済新聞電子版に「定年男子の料理教室」を連載した。

※「定年世代 奮闘記」では日本経済新聞土曜夕刊の連載「ようこそ定年」(社会面)と連動し、筆者の感想や意見を盛り込んで定年世代の奮闘ぶりを紹介します。

読者の皆様のコメントを募集しています。コメントはこちらの投稿フォームから

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

関連キーワード

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_