皆さん、こんにちは。大津です。



緩和ケアにおける看護師の役割は
とてもとても大きいです。

有効な医療が何も出来なくなっても
しかしケアすることはできます。

医師は職業柄、医療の視点で
患者さんをみますから「できること
はもうありません」などと言ってしまう
先生もいます。

しかし医療にできることはなくても、
看護は、そしてケアには常に
できることがあります。

血が付いたシーツをきれいにし、
乱れた髪を整え、枕の周囲の
抜けた髪の毛を取り除き、たとえその方の
反応がもうなくてもできるだけ
快適な環境で過ごせるようにと
意を尽くす。何をしていいのか
わからず、あるいは何もできない
と嘆き悲しむご家族と一緒にケアを
する。何が物言わぬ患者さんにとって
最良なのかをご家族の方々と話し合う。

そう、できることはたくさんあるのです。

中井久夫先生がおっしゃるように
看護は最後までできるのです。


そしてそうやって患者さんやご家族
と最後の時間をともに過ごす看護師
さんたちが緩和ケアの重要性を
よく知っているのは、必然です。

だから毎月の勉強会は看護師さん
ばかりです。
そして残念ながら、参加する医師の
数は多いとは言えません。

看護師さんの熱意と緩和ケアの
理解に対して、医師はまだまだ
かもしれません。


医師も頑張らねばなりません。

ネット上では匿名なのをいいことに
面と向かっては言えないであろう
ひどいことを書く人がいますが
先般もこう書かれました。

「患者の心に寄り添うという責務の大部分は、看護師に委ねられているのが実情だろう。ましてや著者のように、多くの執筆と毎日のようなアメブロ更新に追われる医師が、どこまで患者に寄り添う時間があるのか疑問である」

もちろん言うまでもなく
後者の内容は誤りです。
私は患者さんのための時間を最も
大切にしています。臨床に一番
力を入れている医者です。
アメブロ更新は、前にも記しましたが、
困っている方々を助けるために
少しでも役立ちたいと思ってのものです。

ただ
「患者の心に寄り添うという責務の大部分は、看護師に委ねられているのが実情だろう」
と医師も言われてしまってはいけないのです。


確かに看護師さんが大きな位置づけを占めています。

しかし医師ももっともっと緩和ケアをしなければ
いけないのです。こんな放言をされないように。


医師の中にもきちんと心を大切にしてケアに
当たっている医師がいます。

そして時間は「ある」ものではありません。
時間は作るものです。

医師は患者をケアする時間を作らねば
なりません。あるとか、ないとかでは
ありません。これは看護師さんも同じです。
医療現場はどこも時間はありません。けれども
皆作っています。それがケアに当たるもの
の責務なのです。


正直前述の文を読んで悔しいなあと思いました。

緩和ケアに当たっている医師は人一倍
人の気持ちや心を重んじてケアに当たっています。
私もそうです。

心外でした、本当に。


いろんな人がいるから仕方ないと思います。
もちろん目くじらを立てても・・です。
けれども日本と周囲国と同じで、違うことは
違うと言わなければ、やっぱりいけないと
思います。それはこうやって書かれた
嘘を信じてしまう方も残念ながらいるからです。

それを痛感したのは、あるところで

「良い本であった。しかし著者の本の内容に
ついてはこういう意見があるので、鵜呑みにはできない」

として挙げられていたのが、
自称「緩和ケア施設で働く者」という匿名者が書いた以下の文です。

「医者になってたかだか数年で何がわかるのか、どれだけの患者さんを診たというのか。積極的治療を否定するには早すぎではないかという印象もある。緩和を勧めたいからといって、苦痛を覚悟して積極的治療に臨んでいる患者さんの壮絶な覚悟をないがしろにする権利はない。どのような最期を迎えるか。その選択を迫るときに、医師の個人的な思想で惑わせるべきではない。必要な情報を提供する事は医師個人の主張を刷り込む事ではないと思う。患者さんやその家族が自分たちで考え悩み苦しんだ末に緩和医療をいう道を選んだ時に、その思いを尊重し支えていく存在でなければならない。 身内をホスピスで看取った者として、また、緩和ケア施設で働く者として、この本はやや偏った内容であると感じた」


その人の望みを支えるのが緩和であり、
治療を諦めさせるのが緩和ではありません。誰も積極的加療を否定はしていません。

しかし問題はその人の望みを超えて積極的加療が
なされてしまうことにあります。
やりたくないのに、されてしまっている
こと、これが実際は多いのです。
その場合に、何が最良なのかを考え、
軌道修正のお手伝いをするのが緩和です。

「緩和ケア施設で働く者」と自称するのは
誰でも出来ます。
私はこの方は実際に緩和ケアを行っている
方ではないと考えています。
緩和ケアを誤解されているからです。

しかしそれを読んで正当な内容を疑ってしまう
人が出ます。緩和ケアで看取って、
しかもそこで働いているというもっとも
らしいプロフィールに惑わされてしまいます。
たったその一人、匿名の人の意見に
惑わされてしまう人が出て来てしまうのです。

結果、同意ボタンが多く押されています。
悪口は人を惹き付けるのかもしれません。

怖いなあ・・と思いました。
放言同様のものでも、そこにあるだけで、誰かの心を
絡め取ってしまうことがあるのです。

情報は油断なりません。
やはり間違っていることはきちんと指摘
しなければ、善良な方が誤解されてしまいます。


いずれにせよ、私自身もきちんと振り返り
引き続き良い臨床をしていきたいと思います。
皆さんの中にもまたいわれのない悪口で困っている
方もいらっしゃるかもしれません。負けずに
ともに頑張りましょう!


それではまた。
失礼します。