「ラプソディー・イン・ブルー」前夜のジャズ交響曲とは?[ジャズキュレーション]

OTTAVA con brio  最初のシンフォニック・ジャズ-220306

OTTAVA con brio: 最初のシンフォニック・ジャズ

 

クラシック専門のネット・ラジオのホームページにこんな記事があった。

最初のシンフォニック・ジャズ

さて今夜は、
1923年に作曲された
おそらくは、音楽史上最初の
シンフォニック・ジャズを聴いてみましょう。

 

シンフォニック・ジャズといえば、このサイトにも記されているように

ジョージ・ガーシュウィン作曲の「ラプソディー・イン・ブルー」が嚆矢だと

思われている。

 

しかし、その4ヶ月前に、パリのシャンゼリゼ劇場で

シンフォニック・ジャズが披露されていたのだ。

 

別に、早ければ偉いというものではないけれど、

ガーシュウィンの栄光の影になって、このようなエピソードが

埋もれてしまっているのは残念だ。

 

考えてみれば、芸術の都として19世紀末には大発展していたパリなら、

このような刺激的な実験が行なわれていたとしても不思議じゃない。

 

アメリカ合衆国は新進気鋭の“新世界”だったかもしれないけれど、

実情は侵略者が覇権を握った差別社会だった。

 

その差別を象徴するかのようなジャズは、表向きには認められず、

正式な演奏会場では上演されなかったのだから。

 

その慣例を打ち破ったという意味では、ガーシュウィンの業績は偉大だった。

しかし彼は、このような社会的な背景を意識していなかったのだろうか。

つまり、意識的にジャズを使って体制批判をしたのではないか、と。

 

その点、パリの空気はぜんぜん違ったと思う。きっと純粋に、ジャズへの興味から

曲を仕立てて、バレエと合体できるかと試みたに違いない。

 

作曲者のダリウス・ミヨーは、1922年の訪米時にハーレムでジャズを聴いて衝撃を受けた。

 

帰国した彼は、スウェーデンのバレエ団から依嘱されたバレエ曲を書いた。

それが『世界の創造』という、おそらく世界で最初のシンフォニック・ジャズだ。

 

アフリカ人から見た「天地創造」がテーマの、20分ほどの短い5場1幕の作品は

17人編成のミニ・オーケストラで演奏されたそうだ。

  ⇒Wikipediaで「世界の創造」を調べる

 

 

歌劇場管弦楽団による演奏なので、17人編成よりもゴージャスで

クラシック寄りなサウンドになっていると思うけど、曲の雰囲気はわかる。

全体的にはゆるやかなバレエ音楽だが、ところどころに挿入された

テンポの速い転換部分にジャズの要素がタップリと使われている。

なるほど・・・。

 

 

こちらはピアノ五重奏ヴァージョン。

クインテットといっても、ピアノとヴァイオリン2本、ヴィオラにチェロという編成。

ボクはこっちのほうが好きだな。

 

「世界の創造」が収録されているアルバムはこんな感じ。

これはこれは、マルサリス家のお兄ちゃん、ブランフォードも

ミヨーの「世界の創造」を録音していたんですね~。

 

やっぱりジャズとは深いつながりがあったということが証明された

ってことになるのかな、これって・・・。