いま、社会の課題を解決する方法として、ソーシャルビジネスが注目されています。
ソーシャルビジネスの目的は、ビジネスの手法を用いて、

事業活動を通じて、社会の課題を解決することです。


ソーシャルビジネスの仕組みを通じて、

バングラディッシュの貧困問題の解決に取り組み、

2006年にノーベル平和賞を受賞したムハメド・ユヌス氏は、

次の7つをソーシャルビジネスの原則として挙げています。


①経営目的は、利潤の最大化ではなく、人々や社会を脅かす

貧困、教育、健康、情報アクセス、環境といった問題を解決することである。
②財務的・経済的な持続可能性を実現する。
③投資家は投資額のみを回収できる。投資の元本を超える配当は行われない。
④投資額を返済して残る利益は、会社の拡大や改善のために留保される。
⑤環境に配慮する。
⑥従業員に市場賃金と標準以上の労働条件を提供する。
⑦楽しむ!
出典:ムハマド・ユヌス著(岡田昌治監修、千葉敏生訳)『ソーシャルビジネス革命』早川書房


この原則から考えれば、ソーシャルビジネスは、社会的利益を目的に、

継続的に収益を上げていきながら、雇用も生み、

そして社会の課題を解決することができる仕組みであり、

一般の企業ともNGOとも異なる仕組みであることもわかります。


一般の企業とソーシャルビジネスの違いは、

例えば株式の配当を株主に還元するか、

もしくは社会に還元するかというところにあります。
ソーシャルビジネスでは、出資者は出資額以上の配当を受け取れません。

その配当は、ソーシャルビジネスの事業の拡大や改善のために活用されます。

つまり、社会の課題を解決する力を高めるために活用され、

その結果として、さらに多くの社会の課題の解決をしていけることになります。
これにより出資者は、直接的な配当は得られないけれども、

出資という行動を通じて、社会の課題の解決に

共に参加することができるとも言えます。


また、ソーシャルビジネスを通じて、雇用が生み出されることで、

所得が増え、商品やサービスを受け取る側も安価であっても対価を支払うことで、

経済システムに主体的に参加することができるようになります。
これによって、経済の好循環が生まれ、

社会の課題が解決される力がますます強くなっていきます。

つまり、ソーシャルビジネスとは

社会の課題を解決する経済システムそのものであり、

商品やサービスを供給する者も、それを需要する者も、

皆で豊かになっていくことができるシステムであると言えます。


日本においても、農業やまちづくりの分野、

子育て、教育や高齢者の方々の医療や介護などの分野などに、

さまざまな課題が存在します。

このような社会の課題を解決していく仕組みとして、

ソーシャルビジネスが有効です。


たくさんの「社会の課題を解決したい」という思いが、

ソーシャルビジネスという仕組みを通じて、カタチになり、

それぞれの地域で、それぞれの分野で増えていくことが、

今後の日本を支えていく仕組みになることでしょう。


また、それぞれの地域においてソーシャルビジネスを通じて、

雇用が生まれ、それにより所得が増え、または「生きがい」が増えることで、

地域が元気になり、たくさんの幸せが溢れ出すと思います。

その溢れ出た幸せを総計すれば、日本全体の幸せの量は、

昨日よりも今日、今日よりも明日、必ず増えているはずです。


そこで先日、企業や投資家の皆さんと共同して、

3年間で20億円規模の「ユヌス・ソーシャルビジネスファンド」を設立し、

企業や投資家と協力をしながら、

ソーシャルビジネスを応援していくことにユヌス氏と合意しました。

まずワタミグループは、ファンドに1億円の出資を行います。


社会の課題を解決したいという思い(理念)をお聞きした上で、

その思いを実現することのできる事業計画をお聞きし、

アドバイスをしていきたいと思っています。


ソーシャルビジネスファンドは、アドバイスと資金面でのサポートをセットにして、

ソーシャルビジネスを通じて社会の課題を解決したいと考えている人々を

二人三脚でしっかりとサポートし、

日本でソーシャルビジネスを育てていきたいと思います。


またNPO法人みんなの夢をかなえる会では、

来年1月30日に武道館「みんなの夢AWARD3」 を開催し、

社会を良くする夢を表彰します。アワードに選ばれた夢には、

さまざまなサポートも行われます。
審査の基準は社会に貢献する主旨、具体性があり、

実現のための計画を立てていること。
ぜひ、 「未来の名刺」への皆さんの夢のエントリー をお待ちしております。