PEN、一冊まるごとコムデギャルソン | 福田敏也 オフィシャルブログ PEACE! Powered by Ameba

PEN、一冊まるごとコムデギャルソン

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書店にPENのコムデギャルソン特集が並んでる。

僕は、コムデギャルソンをつくった川久保玲を
尊敬している。
心の底から尊敬している。
ファッションと広告。
フィールドは違うけど
新しいものを生み出すことの本質はかわることなく
そのつらさや厳しさもかわるところはない。
すごい人は、
あまりある才能をもちながら
誰よりも厳しくしつこく粘り強く自分と向き合い
自分を追いつめて結果を出していく。

PENのギャルソン特集では
普段あまりインタビューに答えることのない
川久保玲の言葉がたくさんのっている。
「いつも、一歩先に進みたいと思っています。そういう時に何かしら壁がありますよね。そしてその壁を乗り越えなければいけない。常にそういう状況に身を置かないと、新しいもの、ほかにまったくないものをつくっていけません。でもそのためにはパワーが必要です。そのつくる時のパワーというのが、日々感じる疑問とか恐怖、あるいは希望、怒りといった気持ちなのですが。だから無理にでも自分をハングリーな状況に置かなければいけないし、追い込まれなければいけない。その追い詰まったところで何ができるかを探る。そういう感じでしょうか。」
「四六時中、何かを探していますね。それはコレクションのためだけじゃなくて、ショップごとの戦略や、会社が向かうべき方向性を決めるのもデザインのひとつだからです。全部ひっくりめて、ただただ毎日、飢餓状態というか、足りないという感覚でいますから。そういう時にたまたま外で出会ったことが形になったりするわけです。偶然ともいえるんでしょうけど。でも、いつも何かを探しています。探すという準備ができていないと、さーっと見逃してしまうこともあるかもしれない。・・・中略・・・プレイもそうです。『キャラクターのブランドをやってみたい』と思って。思いついたら悩まない。パッと決めます。こういう会社だから可能なんですけれど、決めたらすぐ行動に移ります。」
「以前、ある小説家の手法を読んだ記憶があるのですが、ストーリーを決めて順番に拡のではなく、バラバラに書いて、それを最後にまとめていくという人がいたんですけど、どこか似てるな、とちょっと思いました.デザインの材料というのはすごく広いのです。記事と型紙だけではないのです。ウェストがどうとか、襟がどうとか、そういうことじゃないんです。色もあんまり関係ない。素材も・・・。何かひとつの物やことだけでなく、身の回りにあることや、日々の仕事の積み重ねから考えることも全部材料です。デザインって何なのかって考えた時に、デザインしないこともデザインなんですね、私にとって。デザインすることがデザインとは限らない。」

70年の後半から
ずっと全力で勝負しつづけてるおばさんなんて、そういない。
自分を徹底的に追いつめて
ギリギリの勝負をし続けて
30年以上もの間世界中のクリエーターから
尊敬され続けてるおばさんなんて、そういない。

コムデギャルソンの服を着ることは
川久保玲や渡辺ジュンヤの考え方を楽しむこと。
かれらが投げかける
かっこよさの新しい軸や基準を楽しむこと。
大胆な文脈設定を楽しむこと。
ただ表面的な襟とか色とかボタンの大きさとか
そういうことはどうでもいい。
アイデアや視点やインスピレーションや
そうした無形のものにお金を払っている。

たぶんこの先10年も20年も、
コムデギャルソンが存在する限り
コムデギャルソンの服を買い続けるのだと思う。
それは、
走り続けるおばさんへの敬意の表明であり、
インスピレーションへの投資であり、
新しい考え方の共有であり。。。

ギャルソンが似合うじいさんってかっこいいんだよなあ。
そのじいさんがシブければシブイほど
いい感じなんだよなあ。
シワもシミも白髪も、みんないい感じに見える。
なんかギャルソンの服って
いい額縁みたいな物なのかも。
人の個性を浮かび上がらせ、味をひきたて。
それはやっぱり
ギャルソンっていうブランドが提供しているものが
表面的な色とか形とかそういう価値ではなく、
服のありかたそのものだからかも、ですね。